|
 |
|
菊池武範
「冷たいご飯」
菊池武範(たけのり)は愛媛県の実業家の家に生まれました。
裕福な家庭に不自由なく育った武範ですが、12歳のとき突然の不幸が訪れます。
事業が失敗し、そのショックで父が倒れてしまったのです。
武範は一家の家計を支えるため、小学校を中退して大阪に丁稚奉公に出ることになります。
新入りの武範にはいつも残り物の冷たいご飯しか残されていません。
暖かかった家庭の一家団欒の食卓を思い出して一人涙します。
そんな武範が22歳のころ出会ったのが、魔法瓶でした。
一家団欒の食卓にあった暖かいお茶をいつでも飲むことの出来る、魔法瓶の魅力に
この上なく惹かれた武範は、さっそく弟子入りします。
数年後、独立。独自の魔法瓶の製作に乗り出し、
どうすれば割れない丈夫な魔法瓶ができるか試行錯誤の毎日が過ぎていきます。
そして、自信を持って売りに出せる丈夫な魔法瓶が完成したのですが
武範を待っていたのはきびしい商売の現実でした。
作った魔法瓶を売り込みに行っても、相手にしてくれる小売店がありません。
全くの無名だった武範の魔法瓶はどこの店でも門前払いの連続でした。
日本各地を飛び回りましたが、やっと置いてもらうことのできた店はわずか。
しかし、大企業の創業者となる人は天から定められた宿命を背負っているのでしょう。
武範にも運命の転機の時がやってきます。
それは、皮肉にも災害でしたが、関東大震災が武範の人生を変える大きな転機となりました。
多くの店の魔法瓶が関東大震災で壊滅状態のダメージを受ける中
丈夫さを売りとした武範の魔法瓶だけが、割れずに残ったのです。
このことが評判を呼び武範の魔法瓶には注文が殺到。
武範の小さな魔法瓶製作所は、タイガー魔法瓶へと大きく成長します。
|
|
|
|
|
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
 すべて荒地と化した敗戦国日本、新たな価値観のもとで、スタートした仁王立ちの人々。
【目次】(「BOOK」データベースより)
 ドレメ式洋裁―女性の衣服改革を先導した杉野芳子/MK磁石―強力磁石を発明した三島徳七/写真電送―NE式で世界を凌駕した丹羽保次郎/川崎製鉄―鉄一筋に生き抜いた西山弥太郎/都市計画学会―都市づくりに情熱をかけた石川栄耀/三菱商事―解体商社を再興した高垣勝次郎/シャープ―有徳の発明実業家早川徳次/関西電力―黒四ダムを完成した太田垣士郎/新建築運動―芸術的建築をめざした石本喜久治/トヨタ自動車工業―自動車王国の礎を築いた豊田喜一郎/ニッカウヰスキー―国産ウイスキーの製造者竹鶴政孝/文化服装学院―服装教育の創始者遠藤政次郎/松下電器―創造的生涯を歩んだ松下幸之助/魔法瓶―タイガー魔法瓶の創業者菊池武範/パーマネント―現代美容を普及させた山野千枝子/日立造船―船舶輸出の推進者松原与三松/民間航空事業―羽田空港開設の道をつけた相羽有/ポイント活字―三省堂活字の大成者今井直一/大洋漁業―水産業界の雄となった中部謙吉/オリオンビール―沖縄ビール産業を興した具志堅宗精/石川島播磨重工業―現場を知り尽くした統率者土光敏夫/ボーイスカウト―日本初の少年団を結成した三島通陽/九州電力―アーチ式ダムを建設した佐藤篤二郎/陶芸―古陶を現代に蘇らせた加藤唐九郎/トヨタ自動車販売―販売の神様と謳われた神谷正太郎/中部電力―原子力自主開発の開拓者井上五郎/テレビジョン―電子式テレビを開発した高柳健次郎/いすゞ自動車―自動車産業の基礎を築いた三宮吾郎/山之内製薬―医薬品の国産体制を築いた山内健二/東京電力―経済の近代化を進めた木川田一隆/低温科学―雪氷の研究開拓者中谷宇吉郎/切手趣味―切手収集と研究の先駆者三井高陽/大型企業合併―新日本製鉄を誕生させた永野重雄/社会評論―反権力を貫き通した大宅壮一/近代建築―国際的建築家坂倉準三
|
|
|